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公用車シェアリングの実証実験

自動車業界の指針となるCASE

 
自動車業界で最近耳にする機会が増えてきた言葉の一つに「CASE(ケース)」があります。
自動車産業の今後の動向を示す重要なキーワードで、Connected(自動車のIot化)、Autonomous(自動運転)、Shared&Services(カーシェアリングとサービス)、Electric(電気自動車)の頭文字をとった造語です。
 

広がるカーシェアリング

 
従来、車は「所有するもの」という考え方が普通でしたが、近年、この考え方は変わってきており、車は「共有するもの」という考え方が芽生えつつあります。
そのような中、CASEの一つであるカーシェアリングの取組が広がっており、近年では多くのレンタカー会社やコインパーキングの運営会社が事業に参入するなど、日本でも身近な存在になりつつあります。
個人がそれぞれ車を所有するのではなく、一台の車を必要な時間だけシェアして使用するという新しい車の乗り方は、無駄な消費を減らし、エネルギーの削減や資源を大切にするSDGsの理念に沿った動きと言えます。
 

シェアカーとレンタカーの違い

 
シェアカーもレンタカーも、一定時間、他人が所有する車を有料で借りるという点では同じですが、その利用方法などにはそれぞれ特徴があります。
例えば、レンタカーの場合は半日以上のレンタル時間が一般的であるのに対し、シェアカーではもっと短い、15分程度から料金が設定されています。
また、レンタカーの場合は対人サービスが基本となるため借りる際に店舗へ行く必要がありますが、シェアカーはスマートフォンですべての手続きが完了し、鍵もスマートフォンを使うため、利用手続きが簡単であることも特徴です。
今後、観光目的などでの利用はもちろん、例えば車を所有せず、週末に買い物があるときだけシェアカーを使って出かける、といったライフスタイルが定着するかもしれません。
 

公用車配置台数の最適化

 
現在、徳島市役所には約130台の公用車が配置されていますが、その利用状況には時期によって差があることに加え、市役所が閉まっている休日にはほとんど利用されていません。
その一方で繁忙期には公用車が不足し、業務に支障が及ぶこともあるなど、公用車配置台数の最適化が課題となっています。
 

公用車シェアリングの開始

 
こうした自動車業界を取り巻く環境や本市の状況を踏まえて、本市では日産サティオ徳島との包括連携協定締結を契機とし、具体的な連携事業として公用車シェアリングの実証実験に取り組むこととしました。
今回の実証実験により、事業者にとっては新たなサービス展開に向けた足掛かりを作るとともに、本市にとってはより効率的に公用車を配置することが可能になると期待されます。
なお、自治体が所有する公用車をシェアカーに活用する取組は全国各地で行われていますが、本市のように民間事業者が保有する車両を自治体が無料賃借する形での実施は珍しく、四国では初の取組(2023年3月7日時点)となります。
 

公用車を休日はシェアカーとして運用

 
協力企業から5台(日産NOTE3台、日産DAYZ2台)の車両が無償提供され、平日は公用車として、市の休日は地域住民や観光客が利用可能なシェアカーとして運用します。
平日は市の職員が従来の公用車と同じ仕組みによって予約・利用することが可能で、物理キーを使って利用します。
また、休日は、J-ウィングレンタリースが管理・運営を行っているシェアリングサービス「スカイレンタカー・スマートサービス」を活用し、スマートフォンを鍵として利用することでシェアカーとしての提供を実現します。
 

トクシイステーションOPEN

 
公用車としての効率的な利用と観光客などの利便性を考慮し、車両設置場所はJR徳島駅と徳島市役所の中間地点(NHK徳島放送局前)としました。
 

 

また、徳島市との連携事業であることが分かるよう、ステーション名は徳島市イメージアップキャラクター「トクシィ」とコラボした「トクシィステーション」としています。
 

運行データの可視化

 
公用車利用の際に得られた運行データと既存公用車の運行データを併せて分析することで、公用車の適正台数を算出し、将来的な公用車の削減に繋げるとともに、安全運転管理にも活用します。
 

また、シェアカーを利用した一般利用者の運行履歴を匿名データとして収集することで、走行経路、立ち寄り観光地などを分析し、観光資源開発の一助とします。
 

災害対応車両としての活用

 
さらに、これらの車両は平常時の運用に加えて、大規模災害が発生した場合等には、避難施設への緊急物資輸送手段として活用します。
将来的には、EV車を導入し、避難場所等への外部給電としての活用に繋げます。
 

シェアリングエコノミーの普及

 
シェアリングエコノミーとは、個人・組織・団体等が保有する何らかの有形・無形の資源(モノ、場所、技能、資金など)を貸し出し、利用者と共有(シェア)する新たな経済の動きのことを言います。
本プロジェクトで取り組むカーシェアリングもシェアリングエコノミーの一つですが、インターネットやスマートフォンの普及により、今後、その市場規模は大きく伸びていくことが期待されています。
本市はこのプロジェクトを通じて、限りある資産を有効活用するシェアリングエコノミーの普及を図り、SDGsの実現を目指します。
 

第1回全国シェアリングシティ大賞優秀賞を受賞(2024年4月)

 
本プロジェクトについて、シェアリングシティ推進協議会が開催する「第1回全国シェアリングシティ大賞」に応募したところ、地域交通部門の「優秀賞」を受賞しました。
シェアリングシティ推進協議会は、シェアリングエコノミーの普及に積極的に取り組む自治体が学び合い、交流することを目的とした組織で、現在、本市を含めた全国170以上の自治体が参画しています。
 

 

公用車シェアリングの本格運用をスタート(2025年8月~)

 
2025年7月末をもって実証実験を終了し、一定の成果が認められたことから、2025年8月から市の事業として、軽自動車2台、普通自動車1台で公用車シェアリングの本格運用をスタートしました。
平日においては、市が事業者からリース方式で車両を借り上げ、公用車として利用するとともに、祝休日においては、シェアカーとして民間事業に利用し、事業者が収入を得られる仕組みを構築しています。
これによって、市においては公用車調達価格の低減が図られるとともに、民間事業者に対する新たなビジネスチャンスの拡大や徳島駅周辺の二次交通の充実など、様々な地域課題の解決につながることが期待されます。
 
■ 徳島市公式HP「公用車シェアリングを事業化しました」

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