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太陽光パネルのリユース実証実験

エネルギー自給率の低い日本

 
私たちの生活を維持していくためには電気やガスなどのエネルギーが欠かせませんが、日本は海外から輸入する石油・石炭・天然ガス(LNG)などの化石燃料にエネルギー源を大きく依存しており、エネルギー自給率の低さが課題となっています。
東日本大震災前の2010年度時点で日本のエネルギー自給率は20.2%でしたが、原子力発電所の停止などによって大幅に低下し、2020年度は11.3%に留まっています。
 

急速に広がった太陽光発電

 
このようなエネルギー自給率を改善するため、東日本大震災以降の日本では再生可能エネルギー(再エネ)への注目が集まりましたが、再エネ発電は、火力などほかの発電に比べて発電コストが高く、なかなか導入が進まない要因となっていました。
そこで、再エネ発電の電力を、電力会社が一定期間、固定価格で買い取るように国が定める「固定価格買取制度(FIT)」が2012年7月にスタートしました。
FITの開始によって、日本では太陽光発電の導入が急速に進み、2021年度の太陽光発電導入量は2012年度と比較して約7.5倍に達しています。
 

大量廃棄が危惧される太陽光パネル

 
太陽光発電に使用する太陽光パネルは、製品寿命が25~30年とされています。
その一方、FITによる電力の固定価格での買取期間は20年間(10kW未満は10年)とされており、FIT終了後の買取価格は大幅に下がるため、製品寿命が残っているにも関わらず、FITでの買取期間が終了したことをもって廃棄処分に回される太陽光パネルが大量に発生するのではないかと危惧されています。
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の新エネルギー部が公表している「太陽光発電リサイクルに関する動向および評価手法の調査」によると、排出量のピークはFIT制度開始当初にスタートした太陽光発電事業の固定価格での買取期間が終了を迎える2034~2036年頃であると予測されています。
 

太陽光パネルの廃棄に関する様々な懸念

 
太陽光発電は、他の発電事業と異なり参入の障壁が低いため、従来の発電事業者だけでなく様々な業種の事業者が取り組みやすいことや、途中で事業主体が変更されるケースも多いこと、また、太陽光パネルの種類によって異なる有害物質が含まれていることなどの特性があり、将来の大量廃棄に関する次のような懸念が示されています。
 
① 太陽光パネルの放置や不法投棄
事業者の所有地で行われている事業用太陽光発電については、売電期間終了後もコスト面の課題から太陽光パネルの適切な廃棄が行われず、そのまま放置されたり、最悪の場合は不法投棄されたりする懸念があります。
 
② 有害物質の流出
太陽光パネルには、パネルの種類によって、鉛、セレン、カドミウムなどの有害物質が含まれており、それぞれ適正な処分方法を用いる必要があります。しかし、事業者に十分な知識がないまま埋立処分を行ってしまうと、有害物質が流出する懸念があります。
 
③ 最終処分場のひっ迫
ピーク時における使用済み太陽光パネルの年間排出量は、産業廃棄物の最終処分量の6%に達するという試算もあるため、一時的に最終処分場がひっ迫する懸念があります。
 

適切なリユースの推進

 
このような懸念がある中で再エネ電力の導入をさらに進めるには、太陽光パネルのリユース・リサイクル、適正処分の一体的な推進が必要不可欠です。
そのため、2021年5月には環境省が「太陽電池モジュールの適正なリユース促進ガイドライン」を発表するなど、国を挙げて太陽光パネルの適切なリユースに向けた取組が進められています。
国の取組方針を踏まえ、本市と包括連携協定を締結している喜多機械産業株式会社では、徳島市内の公共施設にリユース太陽光パネルを設置する実証実験に2024年4月から取り組むこととしました。
この実証実験を通じて、市民や事業者の皆さんにリユース太陽光パネルの可能性を広く認知していただき、新品パネル以外の選択肢を消費者に提供することができれば、持続可能なエネルギー調達方法として太陽光発電がさらに普及・拡大していくと期待されます。
また、太陽光パネルを新たに製造する際に必要なエネルギーとCO2排出量についても、リユース太陽光パネルを使用することで抑制できるメリットもあります。

 

■ 実証実験を行っている公共施設
 
ライフル射撃場

所在地:徳島市入田町内ノ御田
施設面積:11,304㎡
年間利用者数:4,686人(令和4年度)
年間電力使用量:16,591kWh(令和4年度)
実験開始年月日:2024年4月1日
 
 

ゼロカーボンシティの実現に向けて

 
今回の実証実験で得られたデータなどを活用してリユース太陽光パネルの活用についての可能性を探り、使用済みパネル排出量の増加が始まる2030年代前半までに、再使用が可能な太陽光パネルはリユースに、さらに役割を終えてから再資源化する流れを広く浸透させることで、持続可能な資源循環システムの構築を推進します。
また、そのことによって再エネのさらなる普及を図り、徳島市が目指す2050年ゼロカーボンシティの実現に向けて、より多くの民間事業者と連携しながら取り組んでいきます。

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